国際報道に登場する国とは

海外のニュースを日本のテレビ番組や新聞で取り上げるとき、どれも同じような内容ばかり……と感じることはありませんか? 実は、日本国内で報道される海外のニュースには、偏りがあるのです。国際報道についてはすべての国が平等に報道されているわけではなく、さまざまな要因によって、画一的な伝え方しかできないことが多いようです。そこで今回は、国際報道に関するいろはを解説していきたいと思います。外国人とコミュニケーションを取るときに、これを知っておくと、話がうまく噛み合うようになりますよ。

国際報道に登場する国

日本国内で毎日たくさんのニュースになるような出来事が起こっているように、海外でもさまざまな事件や事故、紛争などが起こっています。でも、日本でニュース報道される国ってだいたい決まっていますよね。日本の大手全国紙である朝日新聞・読売新聞・毎日新聞の3社で、2015年に報道量の多かった国を見てみると、ダントツに多いのがアメリカと中国。次いでフランス、韓国、ロシア……と続いています。

これは、日本との関係が強い国の報道が多いということを表しているといえるでしょう。政治的、経済的に、日本に与える影響が大きい国のほうが、日本人の興味を引き立てますから、テレビの視聴率や新聞の購買数を増やすために、どうしてもそういった国がニュースになりやすいのです。

また、現代のグローバル社会の中では、国の経済力が高い国も、日本のニュースで取り上げられやすくなっています。とはいっても、これは、GDPの大きな国が報道されるというわけではありません。たとえば、インドやブラジルなどはGDPが大きいのですが、普段から日本でニュースになっているかというと、そうでもありませんよね。これらのくにの特徴は、生活水準が日本よりも低いということがあげられます。生活水準が日本と似ている国のほうが、日本では取り上げられやすいのです。

なぜ国際報道は減少しているの?

グローバル化する世界の中で、日本でも以前より外国が身近な存在になってきています。ですが、こと報道となると、国際報道はこの30年でどんどん減ってきているのです。その理由としては、景気の悪化とインターネットの普及があげられるでしょう。インターネットが全盛の現代では、新聞やテレビなどでニュースに触れる人が減少し、それよりも、パソコンやスマホで情報を得ることが多くなっています。そのため、従来の報道機関の財政状況が悪化し、極端な経費削減を迫られるようになりました。

その削減の矛先となったのが、国際報道なのです。国際報道はコストが高いわりに日本人の興味が薄く、購買につながりにくいので、どんどん削られるようになりました。ですが、どんどん進んでいくグローバル社会の中で、日本が世界に置いて行かれないようにするためには、国際報道の重要性を改めて見直す必要があるでしょう。

報道の自由度ランキング

国際NGO団体「国境なき記者団」が発表した「報道の自由度ランキング」によると、2017年、日本の順位は72位でした。これは、主要7カ国(G7)のなかで最下位。アジアのなかでも韓国に抜かれ3位に後退したというのは、不名誉なことといえるでしょう。

このことについて国境なき記者団は、「安倍晋三が2012年に首相に再就任して以降、日本のメディアの自由は低下してきている」と指摘しています。また、日本の記者クラブについても、フリージャーナリストや外国人記者に対して排他的であり、自己検閲を増大させていると批判しました。

これは、権力によって日本の報道の自由が奪われつつあるということに他なりません。メディアの自由を取り戻すために、私たち一人ひとりの意識が問われているといえるでしょう。